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キラとアスラン

ラクスとカガリです。




ベースは無印SEED戦後。アスカガです。・・・アスカガのはず・・。








作業が終わって、キラの部屋に呼ばれた。

からかわれた話が伝わっていて、キラの問いに動揺しつつ、否定と肯定をするとキラが面白そうに笑った。

用件はキサカ一佐から今後の自分の仕事のデータとオーブの軍服を預ってきたものを渡す為。
部屋の壁に収納されている椅子を出して腰掛ける。

データに一通り目を通して、キサカ一佐に返信する。
届いているなら早く渡せよとキラに向かって軽く怒る。今、作業中ですって返信しといたよちゃんとと言い返された。その場で返信してくれたのはありがたいが、だがそれは俺にその場で報告をして、俺が返事するのが本当だ。内容にもよるが、今のところお世話になる身だ。礼は尽くさないといけないのに・・・。
仕事やってもバイトぐらいしかしていない彼にはそういうルールはまだ無理か・・・。
こんなところでキラが変わっていないのを思い知る。


「アスランもカガリも強いね。」
唐突にキラがそんな話をする。
「出来る事をするって・・・でもすぐ始めるというのは口で言うほど簡単じゃないから・・・。」
「キラは軍人じゃないんだ、仕方がないだろ。」
カガリがいたらそんなことは気にせずしっかり休んでろ!って言うかもしれないなと思いながら、自分はそんな風に返す。



「・・・僕も一応軍属で登録させてもらっている。」


キラは自嘲気味に、俺から目を反らしうつむく。
軍属でも、カガリの命令がなければ動かなくていいそうだ。ザフトのフェイスみたいなものだろうか。
ならば、キラを休ませたいって言っているカガリは絶対にキラを表舞台に出るように頼んだりはしないだろう。
キラは、オーブに戻って、親元に戻って休息する。

職業軍人でもなく仲間を守る為にナチュラル側につき、コーディネーターと戦ったキラの疲弊は被害妄想でもなく本当に辛いのだろう。

「ごめん、一生懸命頑張っているカガリや、故郷を離れても何かしようとするアスランの前にしてそれを言うのはやっぱり辛いんだけど」

操縦桿からも伝わり残る、人を殺した感触。
身体に助けられなかった命が寄り添っていて、心を蝕む。

最高のコーディネーターとして作られたはずなのに、それでも出来ない事ばかりで。

無力さと罪と悲しみという枠だけに意識が取られないようにするのが精一杯だった。今は。



キラの肩を軽くぽんとたたく。

わかっているよと伝える為に。





癒すのは幼馴染の俺でもなく、片割れのカガリでもなく。

春のように暖かい笑顔と花のような歌声を持つ美しいキラの恋人。



「でも」


たたかれた肩から気持ちが伝わったのか、目を合わせて


「僕はもう、誰かを失うつもりはないから・・・・。だから、必ずちゃんとするから。」



地球の海のような優しくて強い意志を感じる笑顔を向ける。


キラは強い。

憧れるほど。



話し込んでいると大気圏突入準備が完了したという通信が入った。
キラがラミアス艦長と話している。

クサナギ、アークエンジェルの順で降下する予定だ。


「じゃあカガリと一緒にクサナギに行くから。カガリはどの部屋にいるんだ?」
椅子を収納して、飲みきったジュースのポットをキラの分も片付ける。
「あ、なんかラクスが迎えに行ったみたい」
自分としては複雑なのだがあの二人は妙に仲がいい。性格も話し方も正反対なのに、キラと一緒に二人の会話を横で聞いているときなど二人とも見た事がない表情で楽しそうで。
女の子の会話は華やだ。とりあえずカガリの好みをラクスが巧みに聞き出しているので自分も聞き漏らさないようにしている。

お姫様同士・・・というのは少しはあるのかもしれないけれど、気が合うのは二人とも心の壁が無い所だろうか。

「ラクスに伝えておいてくれ、輸送機の方に先に行っていると」
「うん、わかった。アスランも、気をつけて。」
「ありがとう、キラ。また向こうで。」

資料を持っていない手で軽く振ってキラの部屋を出た。
















皆が懸念しているとおり指導者としての力はすでにセイラン家に移っていると言ってもいい。
手元の資料を見ながら苦々しくカガリは思う。


アスハが断絶しなかったのは『カガリ』が生き残り『負けなかったから』。


・・・いつでもアスハの当主になれるよう教育はされてきた。
いずれ代表首長になる意志もあった。
お父様のような政治家になると。
少しでも早くお手伝いが出来るようになればと思ってきた。


セイラン家がどうのこうの言われなくても夢はそこだ。
このまま人形になるだろうと言われても、多分私はその歩みを止める事はもうできない。



傀儡でも何でも、その身分は望む未来を作るために誰よりも皆に直接伝える事ができる。





セイランに完膚なきまでに潰されるまでは。











可愛らしい声が隔壁の外から聞こえる。
正確にはインターフォン越しであるが。

プシュッという音と共にドアが開く。
鍵はかけていなかった。


アスハの時期当主としての自覚を持て、と回りくどく鍵ぐらいかけろと言われそうだが、このアークエンジェルでいまはそんな不埒者などいないと断定する。
確かにそういうところ・・子供っぽいけど。
クサナギから持ち込んだ資料をこちらで見せてもらって・・そのまま3時間ほど仮眠して・・。
アークエンジェルからクサナギにいるキサカと話し合ったり、こっちにいるからとユウナとの食事を断ったりした。
キラたちと話して・・・やっぱり落ち着くな・・と心の片隅で自覚する。
セイランとの会議は精神的に参っていたみたいで、いまはアークエンジェルの仲間の気遣いが嬉しくて・・。


・・・今ふんわりと入ってきたプラントの歌姫ならどうするんだろうな。
やっぱり鍵をかけたりはしないのかな。
なんかかけないような気もする・・と笑いもこみ上げる。


相手に自分の心を読み取らせたりはしないのかな。
こんなことでまいったりはしなのかな。


「カガリさん。降下の準備が終わりました。クサナギへのシャトルもご用意できてますわ。」
「ありがとう、今行くよ。」


実際の降下は受け入れ側の準備を確認してからだがそれほど時間はかからないはず。
降下するのはアークエンジェルとクサナギだ。エターナルはザフトに返すことになったので今はほとんどもぬけの殻。
オーブに頼らずにプラントに戻るものもいたが、バルドフェルトやディアッカを含めいったんオーブに身を寄せるものが多かった。そして手の届かないところで軍法会議の結果を待つ。バルドフェルト隊長を支持する面々なのでそれほど神経質なものがいないというのもあるが。
とにかく今後の動きはオーブ側としては注意しなければならない。

身内も外交も。


・・・これから相手をしていかないといけない重要人の顔と名前を覚えていただけだから、片付けは簡単に済ん立ち上がる。
ドイツもコイツもセイラン家の息のかかったものばかりだ。
うろ覚え程度だが、昔、お父様と回った国の大臣の名前が一つも列記されていない。
降りてすぐアスハとして自分のやるべきことはほぼ決まっていた。
休む間もないのもいい。体力はある。あまり身体も壊さない。
仕事もいい。悠長に構えるつもりは無い。




だけど、

・・・宇宙に上がってから覚えた自分の中に無かった感情が、意志を焦がす。




多分その気持ちと反発するスケジュール。
セイランから渡された日程に心臓に壊されるようなイベントがあった。

・・ダンスを

・・・踊らねばならないようなのだ。



ユウナ・ロマと。




昔の自分なら、・・・そんな事出来るか!と突っぱねるところ。
だけど今は・・・そんな理由ではない。
何かといえば、
・・・苦しい。



・・・自分でもそんなふうに思う日がくるとは思わなかった。




どちらにせよ、ダダを捏ねるのは出来ない。かといって上手に断る理由も無くて。
おそらく従うしか出来ないだろう。




「カガリさん。」


よばれて顔を上げた。
ラクスだ。

シャトルへ案内してくれているラクスが、いつのまにか目の前にいて遠心力のままラクスに激突しそうだった。
右手をラクスの肩にそっと乗せてぶつかるのを防ぐ。
そのままだと壁にも激突しそうなので今度は足で隔壁を反動を緩めながら蹴って、肩に乗せていた右手を腰に回して左手で誘導バーを握った。


反動をのあと、一息。
ラクスを見やって謝る。
「っと、ゴメン。ボーっとしてた。」
「悩み事、なさっていたんでしょう?」
「そんなに悩んでますって顔してたか?」
「キラとカガリさんはそういうところよく似ていらっしゃいますわね。」
いきなり止まったのはラクスだが、自分が考えている事など明白でそのために止まったに違いなかった。
カガリさん場合のボーっとではありませんわとにこっと笑顔が付けられる。
何、気を使わせてんだよと心の中で思う。
ラクスならこれから降下して会う堅物たちに比べたら何百倍も頭は柔らかいのに話をしないなんて。

「・・・アスランのこと言えないな、私この間一人で考え込むなってアイツに説教したばっかりだったのに。」
「あらあら、アスランにそんなお説教してアスランに伝わるのはカガリさんぐらいですわ。」
「ええー、案外素直に聞くぞ。それ、アスランに言いつけてやろうかー。」
「内緒でお願いいたしますわ、」
他愛ない話。
居心地がいい。

笑いあったあと、一呼吸置いて。


「・・・・ラクスはさ、」

多分いま、一番心に留まる、辛いトコロ。



「アスランが婚約者だって言われた時、どう思った?」

コーディネーターは・・それやってコントロールしないといけない、命を弄った罰のような歪みの婚約者制度。
自分のはお父様が亡くなって生まれた政略結婚という歪の婚約者。
どちらも恋とは裏腹なもの。



「・・・誠実で優しい方でしたので、結婚はまだわかりませんが、お友達にはなれると思いましたわ。」


ラクスの言葉・・ぴったりだ、と思った。
アスランはいい奴だし、真面目だし、変なヤツとは思っても友達になりたいとは思える人間だ。


ユウナも悪いやつじゃない。
だけど、まず友達にもなれるかどうか・・・、昔から、アスハの意見には対立していた方だし、むしろ理解しあえるような友達にもなれないまま後宮に押し込められるかもしれない。

まだ慣れない感情への照れや動揺もありその相談はすぐ打ち切ろうとした。仮にも婚約者だったわけだし・・。
「そっか・あ、アスランもラクスみたいに可愛くて頭も良くて歌も上手かったらいっかってトコかな。」
だがその茶化した言葉に、ラクスは間髪要れずに言葉を返した。


「でも、本当に恋しいと思う気持ちを、私もアスランも知らなかっただけですわ。」


のんびりした調子の声なのにスパンとラクスに止められる。
やはりラクスにはかなわない。くっと唇の端を噛む。
その様子にラクスの表情が心配そうに曇る。
「・・・カガリさんの中に生まれた気持ちを大事にしてください。・・・私もキラが好きですわ。」
この思いは間違っていないと。

「・・・・・・でも、アスランのことを考えるとホントに・・・どんなことも、どうでも良くなりそうで、怖いよ。」
覚えたての恋情が辛くてラクスの肩に顔を埋めた。
ラクスも抱きしめてくれる。温かい。

「それでも、この気持ちをカガリさんが知らなかったら、想いが足りない分、アスランは心を開かないですし、カガリさんはアスランを助けられていませんわ・・。」


ラクスの言葉はいつも形をくれる。





・・・まだ、何もかもが未熟なのは気づいてた。

それでも、動くしかないと。



夜の帳の降りたオーブが暁に目覚めるまで。





























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